新聞の向こう側にいる人



今でこそ外で働いている私ですが、三人の子供が幼いころは専業主婦。子供と共にいながらも自分にできる仕事として始めたのが、早朝の折り込みと新聞配達でした。それが思いのほか性に合っており、以後七年間続けましたが、当時の思い出は鮮明に残っています。美しい日の出にいつも感動したこと、犬に追いかけられたこと、雪の日にはバイクにチェーンをつけて、それでも何度も転んだこと・・・。

中でも忘れられないのは、十五年前の台風十九号の時。停電で店も真っ暗。何台ものバイクのライトをつけ、エンジン音の中で行なった折り込み作業。強風にあおられながらの配達。夜が明けると、木々は倒れ、いろんな物が壊れている辺りの光景が現れて、そのつめあとに驚くばかりでした。電気はつかず、テレビもつかない。けれど新聞は、こうして人の力でこんな時でも皆の家に情報を届けられる。このマンパワーによる新聞配達の仕事を、私は改めてすごい!と思ったのです。そしてこの戸別配達のシステムも、苦労だけど魅力的だと・・・。

私は今でもポストに朝刊が届いていると、その向こう側にいる人たちの顔やいろんなドラマを想像します。

ありがとう、とつぶやいて、それから一日が始まるのです。



広島市佐伯区   三田 あつ子(48)





(社)日本新聞協会

ふれあいの詩

第13回 新聞配達に関するはがきエッセーコンテスト

入賞作品集より

新聞販売大全集

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