青年の気持ち



子どものころからひ弱で、遅刻も多く、何事も長続きしなかった私が新聞奨学生をすると言ったとき、先生や友人たちは「おまえには無理だよ」と忠告してくれた。しかし五年間の新聞配達を通して、心身ともに鍛えられた。

社会に出て十八年になるが、早起きの習慣はついたままで、毎朝四時半に起き、五時には家を出る生活が続いている。新聞配達のバイクがまだ何台も走っている時間だ。

ある朝、家を出ていく時、ちょうどバイクが止まった。私を見ると驚き、少し気まずそうな表情で「すいません」と青年はわびた。

私もかって配達が遅れると読者にしかられた。ふつう朝刊は、読者が起きる前に、出勤する前に届けるもの、という意識があった。だから、青年がわびてくれた気持ちがよくわかる。

また会ったら、「俺が早すぎるだけだから」とひと言伝えるつもりでいたが、あれ以来、家を出る時に新聞が届いていないことは一度もなく、会えないままだ。



埼玉県北本市   佐川裕明(40)





(社)日本新聞協会

ふれあいの詩

第13回 新聞配達に関するはがきエッセーコンテスト

入賞作品集より

新聞販売大全集

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