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それは四十年も昔のこと。
クリスマスの朝、玄関先に飛び出していった四歳になったばかりの息子が大きな歓声をあげていた。
「おねがいされたキングサイズのモデルカーセットはとてもむりだけれど、これでがまんしてね。サンタクロースより」
と書かれた手紙を添えて、ミニカーのセットがわが家の新聞受にいれられていたのだ。
一緒におかれていた、お母さんへと書かれた手紙から、事のいきさつが分かった。
「サンタさんおねがいします。キングサイズのモデルカーセットをください。ここのうちです。」
何日か前、新聞受に挟んであった息子の手紙に目をとめた新聞配達の青年が、
その一生懸命さに感動し、苦労して得たお金をはたいて幼い子供の願いをかなえてくれたのだ。
貧しい暮らしをしていたわが家にとっては全く思いがけない、涙が出るほどうれしく、
本当に心温まるクリスマスの贈り物であった。
その夜、家内が専売所にお礼に出向き、店のご主人の話から、青年が遠く九州の出身で、
働きながら教職の道を志す大学生であることを知った。
青年の名は中村崇裕さん。郷里に帰りきっと立派な教育者になられたことだろう。
横浜市青葉区 湯沢功(71)